大型化学消防ポンプ自動車大T型

大型化学車は石油コンビナート等特別防災地域を管轄する消防本部に配置され、化学車3点セットとして大型高所放水車、泡原液搬送車と共に活躍します。石油コンビナートにおける大規模油脂火災に対応するため、通常は、8t級のシャーシにA-1級のポンと1,800L〜2,000L程度の薬液槽を装備しています。石油コンビナートでは高圧な有圧水利が整備されているため、水槽は装備していない場合が多いです。このため、通常の火災に出場することが無く、出場する機会も殆んど無く、車庫の奥や、庁舎裏などの別車庫でひっそりと待機している車が多いです。





有田市消防本部有田市消防署化学基地出張所配備 シャーシ:日産ディーゼルKL-CK53XL エンジン:RG8 ポンプ:A-1級(ME-7A) 薬液槽:2,000L(水成膜) 製作:2002年 モリタ

最新式の標準的な大型化学車です。右側ポンプ操作部に集中制御パネルがあり、放水圧力調整、ドレイン操作を自動で行います。また、通信ケーブルで泡原液搬送車とつなぐことにより、化学車側で泡原液残量の一括監視、自動送液が可能です。ただ、同一メーカー同士であることが条件であり、どこの消防本部も競争入札によって購入している都合上、別々のメーカーで購入し、この機能が使えないケースが少なくありませN。

堺市高石市消防組合浜寺消防署配備 シャーシ:日野P-FH2KLBA改 ポンプ:A-1級(SP-1A) 薬槽:2000L 製作:1990年 森田ポンプ

浜寺署の主力車両で放口が65mm左右各4口、中継口が75mm左右各1口、吸口は100mm左右各2口あります。コックは電動コックになっており、左右の操作盤からの制御が可能です。吸管の昇降装置も付いています。この消防署はコンビナート地帯のど真ん中にあり、このような化学系の大型車両がゴロゴロしています。実際のコンビナート火災ではこの車両が消火栓に部署し、下記の化学車に中継するような体制になっています。

大T型自走放水砲積載化学車

堺市高石市消防組合浜寺消防署配備 シャーシ:いすゞP-CXM19P改 ポンプ:A-1級(MV-1) 薬槽:2000L 製作:1986年 森田ポンプ

この車両はA-1級ポンプと2000Lの薬槽、自走放水砲を積んでいます。このポンプはモリタのMV-1という最大放水能力8000L/minの高出力ポンプを積んでおり、日本最大級の化学車です。(普通の重化学消防車で3000L/min〜4000L/min程度)この車両が本気で放水しようとすると、3台のポンプ車から中継をもらわなければなりません。放口は65mm左右各4口、中継口は75mm左右各3口、吸口は100mm左右各2口付いており、いずれも電動ボールコックになっていて左右の操作盤からの操作が可能です。

自走放水砲はクボタ製でエンジンで走行します。放水能力は放水砲が4200L/min、泡放射砲が3000L/minで、中継口は75mmが4口付いています。放水砲、泡放射砲は有線で遠隔操作も可能です。収納はバックで入れなければならないので、自走して入れるのではなく、電動ウインチで引っ張りあげます。



 

川崎市消防局臨港消防署配備 シャーシ:いすゞKL-CYM81Q2改 エンジン:10PE1F(19,001cc・265kW) ポンプ:A-1級(GMAC3) 水槽:2,000L 薬液槽:2,000L 製作:2000年 ジーエムいちはら工業

この車両はGVW22tの長尺シャーシをベースの大型化学車です。65ミリ放口を6口、75ミリ中継口を4口、100ミリ吸口を2口、3000型電動式泡放射砲を1門装備しています。後部にはヤマハ製電動ホースレイヤーを装備しています。大型化学車は高圧水利の整ったコンビナートでの使用を前提としているため、水槽を積んでおらず、送水隊とペア運用か水利部署しなければなりません。このような仕様にすることで、少ない人員で出場しても、後着隊が現着するまでの間、直近部署し単独放水することが可能であり、コンビナート火災以外の工場、危険物火災にも対応ができ有効な方法だと思います。


大型化学消防ポンプ自動車(大T型相当)

 

 

東京消防庁蒲田消防署空港分署配備 シャーシ:三菱KC-FU519NY改 エンジン8DC11(17,700cc・261kW) ポンプ:A-1級(ME-7B) 水槽:5,500L 薬液槽:900L(たん白)、300L(水成膜) 製作:1999年 モリタ

この車両は,油脂火災だけではなく、航空機火災にも対応した車両です。自治省の補助を受けていない車両なので、タンク容量などが特殊で、油脂火災用のたん白泡と航空機火災用の水成膜泡の2種類を積載しています。また、写真では判りづらいですが、回転灯ではなくウィレン製の散光式キセノンフラッシュ灯を装備しています。放口は左右各3口、上部はYONE製の4500型電動式泡放射砲を1門装備しています。また、前バンパー下にはグランドスイープ装置(滑走路上にある残火を消火したり、車両下部の自衛のために路面上に放水する装置)を備えています。キャブ内の操作盤と有線式リモコンからの操作が可能で、走行放水も可能です。 

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